馬・車馬・騎馬の考古学 東方ユーラシアの馬文化
諫早直人・向井佑介編
四六判・上製・312頁
税込3,520円(本体3,200円+税)
ISBN978-4-653-04539-7【2023年3月刊】
最新の考古学研究と理化学的分析の成果のもと、馬の家畜化から車輛の導入、そして騎馬遊牧まで、馬と人とが歩んできた長い歴史を解きあかす。人類社会における馬の役割とその重要性とは――。馬を鍵として、ユーラシア諸地域の歴史・文化を横につないで理解するための新たな視座を提供する。
<目次>
序 文(諫早直人)
第Ⅰ部 草原の馬文化――馬家畜化からモンゴル帝国まで――
第1章 戦車と騎馬――家畜化後の広域交流――(中村大介)
はじめに
第1節 家畜化に関する研究
第2節 車輛と戦車
第3節 騎乗と高速移動
第4節 東方拡散
おわりに
コラム1 東部ユーラシア草原地帯の馬と馬具――パジリク文化期と匈奴期の特徴ある2事例を中心に――(大谷育恵)
第2章 モンゴル帝国の祭祀とウマ犠牲(白石典之)
はじめに
第1節 史料にみるウマ犠牲
第2節 ウマの殉葬
第3節 祭天祭地のウマ犠牲
第4節 祖先慰霊のウマ犠牲
第5節 民族例にみるウマ犠牲
第6節 ウマを犠牲とする祭祀の位置づけ
おわりに
第Ⅱ部 中国の馬文化――馬車から騎馬へ――
第3章 中国古代の車馬(岡村秀典)
はじめに
第1節 殷墟出土車馬とその源流
第2節 西周時代における戦車の改良
第3節 戦国・秦漢時代における戦車から騎兵への転換
第4節 秦漢時代における乗用車馬の発達と普及
第5節 車制の成立
おわりに――車馬の衰退
第4章 牧馬の育成――中国古代養馬史の再構築――(菊地大樹)
はじめに
第1節 中国最古の飼養記録
第2節 古典籍、出土文字資料にみる馬飼集団
第3節 考古科学からみた養馬技術
第4節 古代馬の実像
第5節 マメ科飼料の導入と飼養技術の東伝
おわりに
第5章 中国における騎馬の導入と展開(向井佑介)
はじめに
第1節 古代中国における騎馬の導入
第2節 騎馬の普及と馬具の革新
第3節 胡族国家の影響
第4節 花開く宮廷の騎馬文化
おわりに
コラム2 馬模型にみえる鞍の変化――北魏の後輪傾斜鞍とその広がり――(大平理紗)
第Ⅲ部 馬文化の東伝――中国から朝鮮半島、そして日本列島へ――
第6章 鐙の出現――騎馬文化東伝の原動力――(諫早直人)
はじめに――西から東へ
第1節 鐙の出現
第2節 世界最古の実物鐙
第3節 鐙の東方展開
第4節 鐙の出現と騎馬文化の東伝
おわりに――東から西へ
コラム3 韓半島の初期馬生産と牧場(李 炫姃)
コラム4 馬と塩――5~6世紀代の奈良盆地の事例を起点に――(青柳泰介)
コラム5 同位体比分析からみた馬の飼育(覚張隆史)
特別論考 古代東アジアの馬文化と植生(篠原 徹)
第1節 草原の騎馬遊牧
第2節 古代東アジアと植生
第3節 草原から森林へ伝播する馬文化
第4節 楽浪海中の倭人社会
第5節 古代東アジアの社会経済的世界と考古学
あとがき(向井佑介)
索引 / 編者・執筆者紹介
●編者
諫早直人(京都府立大学文学部准教授)
向井佑介(京都大学人文科学研究所准教授)
●執筆者
中村大介(埼玉大学人文社会科学研究科准教授)
大谷育恵(京都大学白眉センター特定助教)
白石典之(新潟大学人文学部教授)
岡村秀典(京都大学人文科学研究所教授)
菊地大樹(蘭州大学歴史文化学院考古学及博物館学研究所教授)
大平理紗(京都府立大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程、日本学術振興会特別研究員(DC))
李 炫姃(大韓民国蔚山広域市学芸研究士)
青柳泰介(奈良県立橿原考古学研究所附属博物館学芸係長)
覚張隆史(金沢大学古代文明・文化資源学研究所助教)
篠原 徹(国立歴史民俗博物館名誉教授)
●英文翻訳
ライアン・ジョセフ(岡山大学文明動態学研究所特任准教授)
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