仏教漢語 語義解釈 漢字で深める仏教理解
船山 徹著
四六判上製・372頁
税込3,960円(本体3,600円+税) ISBN978-4-653-04516-8【2022年5月刊】
言葉は思考の拠り所であり、思考と表現に影響を及ぼす――
南北朝隋唐から北宋にかけての仏教思想の根幹にかかわる五十の漢語を取り上げ、漢語における伝統的語義解釈と、原典におけるその語の意味と用例とを対比させ、中国・インド双方から二重の意味を付与された漢字仏教語の価値を究明する。漢語をベースとした仏典解釈は、インド本来の何を継承し、中国独自にどう展開したのか。語源探しや起源探しと袂を分かち、漢語文化圏における仏教受容史を解き明かす。
<目次>
序論 インド伝来の仏教を漢字で思考し言い表す
0.1 ものの見方と言葉
0.2 本書の主眼と新しさ
0.3 各章の梗概
0.4 基本三点
0.5 原語表記
第1章 一字でも解釈は様々――原義と音通
1.1「法」
1.2「経」(付録「契経」)
1.3「道」
1.4「忍」
1.5「心」
1.6「聖」
第2章 仏典漢訳から生まれた新漢字
2.1「鉢」(付録「応器」)
2.2「魔」
2.3「塔」(付録「塔」の誤釈)
2.4「梵」(付録「梵書」)
2.5「刹」
2.6「唄」
第3章 仏典が作り出した熟語
3.1「衆生」「有情」
3.2「如如」「真如」
3.3「五陰」「五蘊」
第4章 漢字の妙味――熟語の分解と再統合
4.1「孤独」
4.2「歓喜」
4.3「如是」
4.4「讃歎」
4.5「如来」
4.6「世尊」
4.7「方便」
4.8「煩悩」
第5章 インドの解釈を引き継ぐ漢字音写語
5.1「沙門」
5.2「比丘」
5.3「阿羅漢」
5.4「那落迦」
5.5「達嚫」
第6章 梵漢双挙――原語音写と漢訳の併記
6.1「鉢盂」
6.2「偈頌」
6.3「禅定」
6.4「三昧正受」
6.5 その他
第7章 インド文化からの逸脱と誤解
7.1「大乗」
7.2「仏説」
7.3「懺悔」
7.4「悉檀」
7.5「曇無竭」
7.6「偈」の誤解
7.7 漢語注釈者の偽梵語
7.8『至元法宝勘同総録』の偽梵語
7.9 チャンスクリット Chanskrit?
第8章 仏教漢語の特徴
8.1 七章の整理
8.2 仏教新漢字と「可口可楽」
8.3 結論 インド文化と中国文化の融合体
付録
Ⅰ サンスクリット複合語の分類を示す漢語
Ⅱ 主な書名と撰者・漢訳者
参考書/あとがき/修訂版のあとがき/索引(語彙・人名・書名)
●著者
船山 徹(ふなやま とおる) 1961年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程後期課程中退。京都大学人文科学研究所教授。プリンストン大学、ライデン大学、スタンフォード大学等において客員教授を歴任。専門は仏教学。
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